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佐賀県杵島郡白石町大字福吉2070-2
2022.01.10

近視について⑥(予防:進行抑制の点眼治療について)

こんにちは! 三根正です。
これまで書いてきたように、近視の進行が壮年期以降の視覚障害発生の危険性を増加させる事は明らかで、就学前から色々な工夫をしながら進行を抑制させる必要があります。
ただ日本では、近視進行抑制効果を正式に承認された治療がまだ一つもありません。
数十年前からいくつかの点眼で進行抑制について報告があるものの、一定の効果が得られない事や副作用が強い事で、実際に広く使用される点眼はありませんでした。

ただ2012年にシンガポールで行われた研究において、散瞳薬などで用いるアトロピン点眼を通常の1%から100倍に薄めた0.01%(低濃度アトロピン点眼)で継続的に点眼する事で、進行抑制に効果的であると報告されました。
その後の研究で、1~2年ほど点眼を継続すれば近視進行を30~50%程度抑制する事が分かってきており、低濃度なので散瞳によるまぶしさ等の副作用が非常に少ない事が利点です。

日本でも同様の点眼を治療薬として開発途中ですが、まだ承認には至っておらず、公的医療保険適用外です。
あくまで保険適用外の自由診療ですが、日本で低濃度アトロピン点眼を行う方法はいくつかあります。何より安全性が重要ですから、シンガポールなど海外で承認を受けているマイオピンという点眼薬を、日本で使用する形式が最も行われています。
自由診療のため眼科によって治療費がやや異なりますが、検査+点眼で月4000~5000円程度が多い状況です。
お子さんの近視についての多くのご相談をいただくため、三根眼科でもマイオピン点眼の取り扱いを行っております。
ただ、すべての子供に有効な訳ではなく、低濃度で副作用が少ないものの長期投与について慎重な観察が必要なため、必ず1~3ヶ月毎の定期受診が必要です

また、濃度が濃いほど近視進行抑制効果は高いですが、副作用や点眼中止後のリバウンドが出やすくなるため、年齢や経過に応じて最適な濃度が異なると考えられています。
最新の知見に基づいて、三根眼科でも対応をアップデートしていきます。

繰り返しになりますが、現代の近視進行抑制で最重要なのは、近業を減らすなど生活習慣の見直し・管理を行う事です(具体的な方法は、ぜひ以前のブログ記事もご覧ください)
その上で、科学的な薬物治療を希望される方に、低濃度アトロピン点眼は現時点で最もメリットが期待できる治療だと考えます
あくまでも近視進行を抑制する効果なので、組み合わせて予防していく必要があります。

お子様の眼の健康について気になる方は、十分に時間をかけてご説明しますので、当院スタッフまでお気軽にお問い合わせください。